思春期を迎えた彼女に対して、舞台ファンの間で最も過熱したのが「宝塚音楽学校への進学」というシナリオだった。母と同じ道を歩み、花咲くタカラジェンヌとして大劇場の階段を降りてくるのではないか――そんな期待が長年寄せられていた。
宝塚音楽学校の受験資格は中学3年生から高校3年生(満15歳から満18歳)までの計4回に限られている。かつて娘が中高一貫の有名私立校に通うなか、声楽やクラシックバレエのレッスンに励んでいるという話が漏れ伝わるたびに、劇場界隈は色めき立った。しかし、受験期を過ぎた現在、彼女が宝塚の舞台に立つ道を選ばなかったことは確定的となっている。
母である一路真輝自身が、宝塚という特殊かつ過酷な世界の厳しさを誰よりも知悉している。だからこそ、娘自身の自主性と自由な人生設計を最優先に尊重した結果だったといえる。