岩松了の名がテレビのお茶の間にまで広く浸透した大きな契機は、俳優のオダギリジョーとの鮮烈なコラボレーションだった。
伝説的なヒット作『時効警察』シリーズや、濃密な謎と独特の空気感が漂う『熱海の捜査官』など、岩松は脚本や演出、出演として深く関わった。オダギリジョーが醸し出す脱力感と、岩松了が生み出す歪んだユーモアが融合したとき、従来の刑事ドラマやサスペンスの枠組みを完全に壊す新たなジャンルが誕生したのだ。
シリアスなサスペンスの裏側にひそむ人間の可笑しさや滑稽さを描く手腕は、彼の真骨頂である。この時期に見せた独自のテンポ感と間(ま)の使い方は、現代のテレビドラマにおけるブラックユーモアの金字塔として今なお語り継がれている。