歌舞伎の歴史において、名門の家に生まれた女性がどのような思いで芸の血脈を見つめてきたか。寺島しのぶが歩んできた女優としての苛烈なキャリアは、その自問自答の歴史でもある。彼女がスクリーンで見せる魂を削るような熱演は、音羽屋の血筋が持つ表現者としての業の深さを物語っている。
その情熱を確かに受け継いだ市川眞秀は、日仏の文化的なバックグラウンドを持ちながら、歌舞伎座の舞台で堂々とした見得を切る。名門の一員として歩み始めた彼の存在は、血統の純血性という従来の価値観を超え、21世紀の歌舞伎界における「継承」の新しいあり方を世界に提示している。