天文学の話題において、一般に混同されがちな重要なポイントが「星の大きさ(体積)」と「星の重さ(質量)」の違いです。
スティーブンソン2-18は体積においては太陽の約100億倍という怪物ですが、質量(重さ)は太陽の30〜50倍程度しかありません。体積が極限まで膨張しているため、星の外層(大気)は「地上の実験室で作る真空状態」に近いほど希薄で、まるで超巨大な綿あめのようにフワフワと漂っている状態です。
一方で、「宇宙で最も質量が重い恒星」はタランチュラ星雲にあるR136a1のようなウォルフ・ライエ星で、太陽の150〜200倍以上の質量を持っていますが、半径は太陽の数十倍程度と非常にコンパクトです。また、ネット上で「最大の天体」として引き合いに出されるTON 618などの超大質量ブラックホールは恒星そのものではなく、銀河中心の特異点構造であるため、恒星の大きさランキングとは明確に区別して理解する必要があります。
赤色超巨星のサイズ測定が極めて難しい理由
赤色超巨星の半径測定には、天文学上の大きな不確実性が伴います。外層が希薄で激しい脈動を繰り返しているため、「どこからが星の表面で、どこからが放出された星周ガスなのか」という境界線(光球)の定義が非常に曖昧だからです。現在スティーブンソン2-18に与えられている太陽半径2,150倍という数値も、恒星物理学の理論限界(林限界線)を上回っている可能性が指摘されており、今後の観測衛星による追試でさらに洗練された数値へと改定される可能性があります。