演出過多が疑われがちな現代のテレビ界において、ガキ使の蝶野ビンタは「事前の打ち合わせを極力排除したガチンコ勝負」として収録されていました。蝶野本人も各種インタビューで明かしている通り、現場での細かいリハーサルはなく、方正自身も「自分がどうやって犯人に仕立て上げられるか」の台本を事前に知らされていませんでした。
現場に漂うピリピリとした空気感は本物であり、蝶野自身もプロレスラーとしてのプライドから、手加減をして不自然に見えることを極度に嫌いました。掌の芯で的確に音と衝撃を響かせるプロの技術を用いていたものの、受け止める方正の顔面には毎回激痛が走っており、収録直後は頬が赤く腫れ上がるのが日常茶飯事でした。
その一方で、蝶野正洋と月亭方正のプライベートの関係は極めて良好であり、深いリスペクトで結ばれています。蝶野は「方正くんが全力で受け止めてくれるからこそ、自分のキャラクターが生きる」と感謝を口にし、方正もまた「蝶野さんのプロ意識があるからこそ、命懸けでリアクションができる」と語っています。二人の間にある絶対的な信頼関係こそが、あの強烈な一撃を単なる暴力ではなく、極上のエンターテインメントへと昇華させていたのです。