1957年の創業以来、この店が歩んできた道のりは、日本の西洋料理史そのものと言っても過言ではない。旧満州・ハルビンから引き揚げてきた創業者・加藤幸四郎氏が「本物のロシア家庭料理を日本の人々に届けたい」という情熱から立ち上げた小さなレストランは、やがて娘である加藤登紀子氏をはじめとする文化人やアーティストたちが夜な夜な集う特別なサロンへと成長していった。
2026年を迎えた現在も、そのスピリットは色あせることなく引き継がれている。クラシカルな調度品や壁に飾られたロシア工芸品「ホフロマ塗り」の温もりが、訪れる人々に昭和の浪漫と優雅な時の流れを感じさせる。半世紀以上の時を経てもなお、創業当時の想いとレシピが大切に守られているからこそ、親子三世代で通い続ける熱狂的なファンが後を絶たないのだ。