爪下血腫は軽度であれば確かに自然に吸収されることもある。しかし、「自然に任せていれば必ず治る」という認識は大きな間違いだ。血腫が爪の広範囲に及ぶ場合、溜まった血液の圧力によって爪甲が爪床から剥がされてしまうことがある。これが「爪が剥がれる」状態だ。一度剥がれた爪は再生に数ヶ月から半年以上かかり、その間は指先が非常に敏感になり、日常生活にも支障をきたす。
さらに深刻なのは、爪下血腫の下で骨折が見逃されるケースだ。医学的には、爪下血腫が爪の50%以上の面積を占める場合、末節骨骨折を合併する確率が大幅に高まるとされる。公式な診療ガイドラインでも、広範囲の爪下血腫では画像検査による確認が推奨されている。骨折に気づかず放置すれば、変形治癒や慢性的な痛みの原因になり得る。2026年現在、スポーツ外来の現場では「痛みが強い爪下血腫=骨の評価も必要」という認識が定着している。