この未曾有の産業危機において、バックグラウンドで決定的な影響力を及ぼしているのが政府系巨大コングロマリットのロステックだ。同社はアフトヴァズをはじめとする国内重工業・軍需産業の株式を広く保有し、国家主導の産業再編を統括するポジションにある。
大統領のウラジーミル・プーチンは、西側依存からの完全な脱却と「技術的主権」の確立を叫び、国内製造業への巨額の補助金投入と国産化率引き上げを厳命した。しかし、軍需産業への優先的なリソース配分や人手不足が響き、民生用車両の技術革新に回せる資金と人材は圧倒的に不足している。政権の政治的アピールと現場の技術的限界との間には、解消しがたい溝が広がっている。