マイクの前に立つ彼女の姿には、余計な力みが一切ない。「TATTOO」や「BLONDE」といったかつてのアッパーチューンを、テンポを少し落とし、アコースティックやジャズ調のしっとりとしたアレンジへと再構築した動画シリーズ。そこに刻まれているのは、若い頃の爆発的な声量で押し切るパフォーマンスとは一線を画す、息遣いひとつにまで感情を宿らせる成熟したボーカルだ。
カメラに向かって時折見せる照れくさそうな微笑みや、歌い終わった瞬間のホッとしたような表情。映像の編集感も極めてシンプルで、過度な演出を削ぎ落としたからこそ、彼女の純粋な「歌への愛」がまっすぐに伝わってくる。耳の早い音楽ファンは、その低音域の豊かな倍音とウィスパーボイスの交錯に、海外のジャズシンガーにも通じる圧倒的な表現力を感じ取っている。