実写化やドラマ化のトレンドにおいても、中学生同士の微妙な距離感の描写は重要なテーマだ。『からかい上手の高木さん』をはじめとするヒット作では、日常の何気ないからかいや視線の交錯が、物語に絶妙な緊張感を与えている。橋本環奈のような圧倒的な存在感を持つキャストが活躍する実写恋愛作品の系譜においても、こうした思春期特有の「一歩を踏み出す瞬間の美学」は一貫して大切にされてきた。
監督や演出陣は、カメラの引き算によって演者の表情の変化を克明に捉える。言葉以上に雄弁な一瞬の静寂が、見つめ合うふたりの世界を鮮やかに描き出している。