精神医学の歴史において、この病理の構造解明は長年の課題であった。アメリカ精神医学会が発行する診断基準『DSM-5』では、自己愛性パーソナリティ障害を「誇大性」「称賛への欲求」「共感の欠如」を特徴とするパーソナリティ構造として定義している。そこには、他者の感情に対する深い無関心と、自らの優秀さに対する不切実な幻想が浮き彫りにされている。
一方で、精神分析家ハインツ・コフートは「自己心理学」の視点から、この過度な誇大性の背後にある脆弱な真実を分析した。コフートによれば、彼らの肥大化した自尊心は、本質的な「自己の空虚さ」や「傷つきやすい自己価値観」を防衛するための脆い鎧にすぎない。健全な承認体験の不足が、生涯にわたる無限の承認欲求を生み出し、結果として自らを自滅的な行動へと駆り立てるのだ。