数年に一度、この静けさは劇的な熱狂へと変わる。7年目(数え年)ごとに開催される天下の大祭「御柱祭」だ。巨木を山から引き出し、人力だけで急坂を曳き落とす荒々しい祭り。その熱気は、数年が経過した今もなお境内の隅々に残り香のように漂っている。
境内の四方に建てられた4本の「御柱(おんばしら)」と呼ばれる巨大な神木。近づいてその皮膚に触れるかのように見上げると、圧倒的な圧迫感と同時に、地に足のついた安らぎを感じる。巨木が大地と天を結ぶ架け橋となり、集まった人々の祈りを吸い上げてきたのだ。力強い木肌に刻まれた刻印は、熱狂した氏子たちの熱い汗と情熱の証にほかならない。