なぜ「毎日しっかり洗うこと」が赤ちゃんの肌にとってリスクとなり得るのでしょうか。その最大の理由は、乳児期の皮膚特性と赤ちゃんのお風呂での洗いすぎのデメリットにあります。生後2〜3か月を過ぎた赤ちゃんの皮脂分泌量は急激に減少し、角質層の厚さは大人の約2分の1しかありません。皮膚の水分を保持するセラミドや天然保湿因子(NMF)も極めて少ないため、外部刺激に対する防御壁が脆弱な状態にあります。
このデリケートな皮膚に対して毎日熱いお湯に浸からせ、泡立てた石鹸で全身を擦る行為は、わずかに残された天然の皮脂膜を強制的に剥ぎ取ってしまう行為に他なりません。皮膚のバリア機能が破壊されると、角質層から水分が蒸発して深刻な砂漠状態に陥り、赤ちゃんのお風呂と冬の乾燥肌の悪化を招く直接的な引き金となります。
さらに見逃せないのが、アレルギー発症との関連性です。近年、皮膚のバリアが壊れた隙間からアレルゲンが侵入することで食物アレルギーなどを引き起こす「経皮感作(けいひかんさ)」のメカニズムが解明されました。過剰な洗浄によって乾燥や微細な傷が生じた無防備な肌は、アレルゲンにとって格好の侵入口となってしまいます。乳児湿疹のスキンケアにおいて毎日の石鹸使用を盲信し、湿疹が出ている部位を躍起になって洗う保護者も見受けられますが、炎症を起こしている部位への界面活性剤の多用は症状をかえって悪化させかねません。皮脂の多い頭皮やTゾーン、排泄物で汚れる臀部以外は、ぬるま湯で優しく流すだけで十分なのです。