劇場の楽屋口を抜けると、そこには張り詰めた緊張感と熱気が充満している。宝塚歌劇団が推進する新たな舞台演出の現場では、これまでの伝統的スタイルに最新のデジタル表現手法や現代的な心理描写が組み込まれ始めている。照明効果や音響設計の精度が跳ね上がり、演者の呼吸一つひとつが客席の隅々までダイレクトに伝わる。客席から聞こえる歓声の質も確実に変化した。
劇団員たちが挑む役作りも、これまで以上に多面的だ。トップスターを中心に、従来の様式美を完璧に踏襲しながらも、人間のドロドロとした葛藤やリアルな感情の起伏を緻密に演じ分ける。本格的なミュージカル作品としてのクオリティ向上を目指し、ボイストレーニングやフィジカルレッスンにもかつてない革新的プログラムが導入された。「美しさ」の定義そのものをアップデートする姿勢が、舞台の全域から立ち上っている。