具体的な実験を見てみよう。被験者に仮想現実(VR)でトロッコ問題を体験させ、その際の心拍数や発汗量を測定するテストが行われた。結果は驚くべきものだった。サイコパス的スコアが高い被験者は、レバーを引く際にも生理的な動揺をほとんど示さなかった。彼らにとって、それは単なる「パズルのピースを動かす作業」に過ぎない。
対照的に、一般的に「冷酷」と評される合理的な判断を下した一般の被験者は、激しいストレス反応を示していた。彼らは冷酷だからレバーを引いたのではない。むしろ、5人の命の重さに耐えかねて、自己の精神的ダメージを犠牲にして意思決定を行ったのだ。この違いを無視して一括りにすることは、倫理的な怠慢と言わざるを得ない。