大相撲の土俵を彩る懸賞幕の中で、誰もが一度は目にしたことがあるのが株式会社永谷園の看板だろう。長年にわたり土俵を支え続ける同社のように、企業が大相撲に懸賞を出す理由はどこにあるのか。そこには現代のスポーツビジネスにおける極めて戦略的な広報効果が存在する。
NHK総合テレビジョンの大相撲中継は、放送法に基づき一般的な民放のような企業CMを入れることができない。しかし、取組前に土俵を一周する懸賞幕や呼出の読み上げは「画面に映り込む光景」としてそのまま放送される。企業のロゴや商品名が全国のお茶の間に直接届くこの露出効果は、広告枠としてきわめて価値が高い。
さらに、若者を中心に利用者が急増しているABEMAの配信では、取組のハイライト動画がSNS上で爆発的に拡散される。伝統的な企業から新興IT企業に至るまで、興行界の歴史を支えるスポンサーシップは、デジタルメディアの広がりとともに新たな広告価値を生み出し続けている。