今回のプロジェクトが世界的な注目を集める最大の理由は、世界三大映画祭を制してきた二大巨匠の奇跡的な共闘にある。カンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞した是枝裕和と、ヴェネツィア国際映画祭で銀獅子賞に輝いた黒沢清。本来であれば個々に映画界を牽引するはずの2人が、一つの作品で監督とプロデュース、脚本を分担するという前代未聞の体制が敷かれた。
描かれるのは、高度経済成長期の裏で繰り広げられた黒い政界工作と、それに翻弄された名もなき市井の人々の生き様だ。是枝裕和が得意とする繊細な家族描写と心に刺さるヒューマンドラマの要素に、黒沢清特有の不穏で緊張感に満ちた政治サスペンスの演出が融合する。まさに邦画史に残る金字塔となることは疑いようがない。