この市場が「大正町」と呼ばれるようになった由来は、大正元年に遡る。当時、町を襲った大火によって市場の大部分が焼失した際、大正天皇から復興費が下賜された。これに深く感謝した町民たちが、感謝の意を込めて通りを「大正町」と改称したのが始まりだ。100年以上が経過した今も、その名と歴史的背景は地域の人々の誇りとして生き続けている。
全長わずか数十メートルの小さなアーケードだが、そこに凝縮された空気感は密度が違う。手作りの惣菜を並べるおばちゃんたちの笑顔、威勢よく魚の値段を叫ぶ店主の声。昭和の面影をそのまま残した木の看板や傾いた日よけ幕の向こうには、時が止まったかのような懐かしさと、生き生きとした生活の息吹が同居している。