アーサー・カークランドという存在が放つ強烈な個性は、皮肉とツンデレの妙味にある。口を開けば皮肉交じりの小言ばかり。素直に好意を表現できない不器用さは、作中でも屈指の愛され要素だ。皮肉屋な態度の裏側に垣間見える寂しがり屋な一面が、視聴者や読者の庇護欲を激しく揺さぶる。
かつての子分であったアメリカとの複雑な愛憎関係や、ライバルであるフランスとの不毛でコミカルな言い争いは物語の爆発力となっている。格好つけたいのに決めきれない。伝統を重んじるのにロックやパンクのスピリットを宿している。こうした矛盾を孕んだ多面性こそが、彼を単なる記号的キャラクターに留めない立体的な魅力の根源なのだ。