空也上人は、特定の大寺院に属さず、市井の中で庶民とともに生きた「市聖(いちのひじり)」であった。10世紀中頃、都に猛威を振るった疫病と飢餓に対し、彼は大きな車に聖観音像を載せて街を巡り、念仏を唱え、茶を振る舞って人々を慰めた。
パンデミックを経験し、孤独や社会的分断が深刻化する2026年の現代において、空也の生き様は極めて現代的なインスピレーションを与える。言葉を声に出し、それを他者と分かち合うこと。彼の口から飛び出す6体の阿弥陀仏は、孤立した個人が他者とつながるためのコミュニケーションの本質を表現しているかのようだ。