奈良のならまちや京都の特定区域では、かつて無秩序に開放されていた公道の撮影スポットの一部が、保全協力金を伴う「特設フォトゾーン」として再編された。数百円から数千円の参加費は、歴史的景観の維持修繕や清掃費用へと直接還元される仕組みだ。
「料金を払ってまで撮影するのか」という当初の異論は杞憂に終わった。利用者の満足度はすこぶる高い。混雑に巻き込まれず、意図しない人物の写り込みを気にせずじっくりカメラを構えられる価値は、現代の旅行者にとって納得のいく投資だからだ。無料の搾取から「対価を伴う文化的体験」への意識改革がここに結実している。