『バグズ・ライフ』は、映画制作における技術的な革新だけでなく、脚本やキャスティングにまつわる数多くの興味深い裏話が存在します。
最も有名なトリビアの一つが、黒澤明監督の名作映画『七人の侍』および『荒野の七人』へのオマージュです。「野盗(バッタ)に苦しめられる農民(アリ)が、用心棒を雇って立ち向かう」というプロット構造は名作映画の系譜を継いでおり、大人も唸る骨太なドラマ性の基盤となっています。
また、イモムシのハイムリックの声を担当したのは、プロの声優ではなく、ピクサーの伝説的なストーリー責任者・アニメーターであったジョー・ランフトです。制作初期に当てた仮の音声があまりにも素晴らしかったため、そのまま本編の正式キャストとして採用されたという逸話が残されています。
さらに、本作はエンドロールで映画史上初めて「フルCGアニメーションによるNGシーン(アウトテイク集)」を導入した記念碑的作品でもあります。あたかもCGキャラクターたちが実在の俳優として演技し、セリフを噛んだりセットのハプニングに笑ったりする演出は、当時の観客に強烈な驚きと感動を与えました。『トイ・ストーリー』でおなじみの「ピザ・プラネットのトラック」や、ピクサー作品の定番隠し要素「A113」もしっかりと背景に登場しています。