一色五郎は、観世流シテ方能楽師として近代から昭和の激動期に活躍した人物です。幼少期より厳しい稽古に身を捧げ、観世流の正統たる謡と舞の神髄を徹底的に叩き込まれました。
観世流シテ方としての歩みは、常に舞台に対する畏敬の念とともにありました。若い頃から卓越した身体のキレと天性の気品を発揮し、東京や京都をはじめとする各地の演能会で頭角を現します。戦前・戦後の混乱期にあっても舞台の火を絶やすことなく、日本全国に能楽の奥深い魅力を届ける原動力となりました。
その生涯を通じて磨き上げられた技芸は、単なる技術の誇示ではなく、内面から滲み出る静謐な美しさを宿していました。観客のみならず同業者からも一目置かれる存在へと登りつめた背景には、日々の不断の精進があったことは間違いありません。