創業1931年の日本橋の老舗洋食店「たいめいけん」の三代目オーナーシェフである茂出木浩司氏は、かつて一世を風靡した伝説的番組『料理の鉄人』の遺伝子を受け継ぎつつ、現在ではYouTubeなどの動画プラットフォームを通じて惜しげもなくプロの技術を発信している。彼が提唱する隠し味の筆頭にあがるのが、じっくりと煮詰めた赤ワインと、隠し味程度のウスターソースだ。
プロの厨房では、既成のデミグラスソースを使う場合でも、火を入れる順番と酸味の飛ばし方に細心の注意を払う。茂出木シェフによれば、牛肉と玉ねぎを炒めた段階で赤ワインを注ぎ、アルコール分と余分な酸味をしっかり飛ばすことが、コクと旨味を極限まで引き出す絶対条件だという。仕上げにただ混ぜるのではなく、ベースの段階で酸味と甘みのバランスを整えることこそが、老舗の味覚に近づける第一歩なのだ。