時計の針を少し戻そう。水嶋ヒロといえば、大手芸能事務所「研音」に所属し、瞬く間にスターダムへと駆け上がった人気俳優だった。若手俳優の登竜門として知られる特撮テレビドラマ『仮面ライダーカブト』で主演を務め、その圧倒的なビジュアルと洗練された演技力で全国のファンを魅了。その後もドラマ『メイちゃんの執事』などで確固たる地位を築いた。
しかし、彼は絶頂期に大きな転換期を迎える。事務所を退社し、本名の齋藤智裕名義で執筆した小説『KAGEROU』でポプラ社小説大賞を受賞。世間を大いに驚かせた。俳優という枠に留まらず、自身の表現と家族との時間を守るために独立を選んだ彼の決断は、当時の芸能界でも異例中の異例だった。