小次郎の代名詞とも言える必殺技「燕返し」。飛ぶ燕を空中ではさみ斬るかのような超人的な剣技は、はたして実在したのか。彼が修めたとされる巌流(あるいは富田流)の剣術は、3尺(約90cm)を超える異例の長刀を用いる点に最大の特徴があった。
通常の間合いの外側から一撃を放ち、それをかわされた瞬間に間髪入れず振り下ろす、あるいは下から斬り上げる高速の二段技。それこそが「燕返し」の正体であったと分析される。間合いの制約を打ち破る長刀の利点を極限まで高めた合理的な技術であり、決して架空のファンタジーではなかったのだ。