昭和30年代初頭、日本の演芸界に突如として現れ、社会現象を巻き起こしたユニットが存在する。由利徹、南利明、そして八波むとしの3人によって結成された「脱線トリオ」だ。浅草の軽演劇舞台で磨き抜かれた彼らの絶妙な掛け合いは、当時のテレビ黎明期と見事に合致した。
それぞれの強烈な個性がぶつかり合うコントは、瞬く間に全国の視聴者を虜にした。「じゃんまとな」(由利)、「ハーイ、名案でございます」(南)といった流行語が飛び交う中、八波むとしはダイナミックなリアクションと緻密な計算に基づいたツッコミで全体を牽引。昭和コメディの黄金時代を象徴するトリオとして、その名を歴史に深く刻み込んだのである。