建築デザインの観点からも、この施設のアプローチは異彩を放つ。館内および露天エリアの照明設計は、星空と自然光のゆらぎを損なわないよう綿密に計算されている。足元をかすかに照らす間接照明以外、余計な人工光は一切存在しない。
湯船に肩まで浸かると、自身の身体と湯の境界線がゆっくりと溶け出していく感覚に襲われる。耳を澄ませば聞こえてくるのは、澄んだ沢のせせらぎと、時折揺れる木々の葉擦れの音だけだ。スマホの画面を見つめ続ける毎日で強張った脳の緊張が、湯気の向こう側へとじわじわと解けていくのを感じずにはいられない。