鬼舞辻無惨との苛烈を極める最終決戦において、二人の絆は悲しくも美しいクライマックスを迎える。鬼の始祖を倒したものの、無惨の細胞と意志を注入され、最強の「鬼の王」へと変貌してしまった炭治郎。意識を失い暴走する炭治郎を前に、鬼殺隊の仲間たちは全滅の危機に瀕した。
その危機を救ったのが、過酷な闘いで片目の視力を失いながらも前線に留まっていたカナヲだった。彼女は胡蝶しのぶから託されていた「人間に戻す薬」の予備を手に、自らの残された視力すら失う危険を顧みず『花の呼吸 終ノ型・彼岸朱眼』を発動。鬼化して攻撃を撒き散らす炭治郎の懐へと決死の覚悟で飛び込んだ。
「炭治郎ダメだよ 早く帰ってきて……ネズコちゃん泣かしたらダメでしょう……」
背中を切り裂かれながらも、一筋の涙とともに薬を打ち込んだカナヲの姿は、まさに自らの命と引き換えにしてでも炭治郎を救いたいという魂の叫びであった。この命がけの献身が、暗闇のなかで葛藤していた炭治郎の心に届き、人間としての復活を果たす決定打となったのである。